雨粒が背中をおして
言われるがままに濡れた歩道を駆け抜けた
行き交う人もすれ違う車も せわしなく帰る場所へ向かっていく
窓から漏れる明かりは 夜の始まりを仄かに伝え
どこかで聞こえるカラスたちの声は 夕食のスープを狙っているような気がする
視界を遮る電柱のすきまに
1928 と書かれた立派な建物を見つけた
お洒落な扉から二人組の女性が出てくる
傘を開くとまたお喋りが口を滑らせる
私は手持ちの傘を握りしめる
小綺麗なものは一切手元に見当たらないが、雨宿りくらい許されるだろう
中は、想像とは別世界
隠されたギャラリーに少しの人集り
今夜はきっとユーニークな空想に浸れるだろう
この建物は、外から見ても中から見てもおもしろいから
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