岩ときどき花
- S Mikaze
- 2023年7月4日
- 読了時間: 7分
皆さんこんにちは!Mikaze です。
蒸し暑い日が続きますね。
今年はうちわで乗り切るつもりなんですが…
果たして大丈夫でしょうか。
旅は変動していて、1つの都道府県1週間と決めていたのですが、少し短くする事も増えてきました。
埼玉県をぶらぶらと周回しまして、思い返せば岩と花を求めて旅していたなあと振り返っております。街中の交通量も多く、人口の多い場所に突入すればするほど、自然が恋しくなるものです。
ということで今回は、埼玉県で出会った岩と花を紹介しますね。
それでは、さっそくいってみましょう。
1. 音が鳴る?ポンポン山

ネジバナ(学名 : Spiranthes sinensis var. amoena)
まず、紹介したいのがこのネジバナ…
これは、埼玉県吉見町にあるポンポン山の、高負彦根神社に向かう途中の公園に咲いていたのですが、筆者初めて見ました。
こんな可愛らしくねじれた曲線の美しい花があるんだ!
と思い、心の中で密かに感動しました。
芝生や湿地帯の明るい場所に見られる、ラン科の特別珍しくはない普通の花です。しかし、全く存じ上げなかった筆者には関係ないです。
しばらく、しゃがみこんでじっと眺めていました。
素敵なネジバナですが、実はこれを見にやってきたわけではないのです。

本題はこの神社の裏手にあります。

ポンポン山頂上からみた景色
裏手を歩いていくと、大きな露岩が見えてきます。
ここはポンポン山の頂上で、標高は678.8m。
この付近でジャンプすると音が鳴るらしいので、岩山に登って子供みたいに飛び跳ねてみました。
すると…ポンっと確かに音がします。
地下が空洞になっているのか、もしくは樹齢何百年経った高齢の木の上に立ってジャンプしたような感覚です。(それをした記憶はないけれど)
不思議ですね。
この岩山を下りてジャンプしてみても、普通の地面を踏んだような音しかないのです。
ポンポン山には、こんな言い伝えが残っています。
その昔、ある長者が財宝の隠し場所を捜していました。長者はある日、高負彦根神社に詣で、「いちばんいい財宝の隠し場所を教えてください」とお伺いをたてました。すると神様のお告げがあり、「この岩山に埋めろ。私が守ってやろう」というものでした。そこで長者は大変安心して、財宝をこの山に埋めたそうです。
今では、こうした話の名残として、岩山はポンポン山と呼ばれており、山には神霊がいるといわれています。
岩山から埼玉の原風景を眺め、童心に帰ったような感覚で楽しむことが出来ました。
2. 長い年月の造る岩穴

嵐山渓谷の麓にある遠山甌穴
次に紹介するのはこちら。
ポンポン山から西に20分ほど行った先にある嵐山町の遠山甌穴です。
川の畔に見ることのできるポットホール。
埼玉県では、長瀞町の荒川や嵐山町の嵐山渓谷にある岩畳が有名ですが、ここはその穴場的な場所ですね。
町内を流れる槻川(つきがわ)は、所によっては激しく、この甌穴の付近では強い水の流れがぶつかっています。その流れが渦を作り、乗じた礫や小石が長い時間を費やして水流によって一箇所でくるくると回って削られて出来たといわれています。
人間の一生と自然の経つ年月では、時間の感覚が全然ちがいますね。

全国を飛び回って、ポットホールにも何箇所か訪れているのですが、みんなそれぞれ個性というものがあり、岩の形状や周囲の景観も微妙に違います。
だから、この水の勢いや流れによってこの形ができているのか…と地形の成り立ちを想像しながら見物するのが楽しいです。
3. 古代から芽生えた蓮の花

古代蓮の里 ハス (学名: Nelumbo nucifera)
曇り空の中、見に行ったのは蓮の花です。
古代蓮の里では、行田蓮や真如蓮、酔妃蓮など世界の蓮も含めた42種類の蓮を見ることができます。
見頃は6月中旬から8月上旬。筆者が見に行ったのは6月初旬で、咲き始めかもう少しで咲きそうといった具合でした。
しかし、完全に花開く時よりも蕾の方が好きなので、むしろ好都合でした。
鮮やかな瑞々しい蓮の花が無数に広がっているのを眺めると、心洗われる気持ちになります。

白い蓮の花も、仄かに光る灯火のように淡く優しい色合いをしており、とても可愛らしいです。
蓮は植物のなかでも、もっとも古いもののひとつ。およそ1億4000万年前に、すでに地球上に存在していたといわれています。
こんなに長い年月が経っても、変わらない姿で美しい花を咲かせ続けているなんて、本当に驚きです。

蓮の葉ってこんなに大きいのですね!
頭4つ分くらいあるんじゃないでしょうか。
葉の大きさもさることながら、茎の高さも高いものだと100cmくらいで、自分の胸の高さまでありました。

古代蓮の里の行田蓮(古代蓮)は、今から約2000年前にこの場所が湿地帯だった頃、咲いていた蓮の花の実が深い眠りにつき、その後造成工事で水が溜まった池によって偶然に目覚めたそうです。
仏教の極楽浄土にも登場する蓮の花ですが、その様子が連想できるくらい一面に広がっていました。
花開く時が差し迫り、見るも鮮やかに生き生きとしています。
4. 梅雨時に生えるギンリョウソウ

国営武蔵森林公園の森
所変わって、古代蓮の里から車で20分ほど。
国営武蔵丘陵森林公園という公園に着きました。
ここにやってきた理由は、今の梅雨時しか見ることのできない神秘的な植物があると聞きつけたからです。

あざみくぼ沼がみえてきた
非常に広い公園なので、ウォーキングがてら20分ほど歩きました。
そして着いたのが、あざみくぼ沼という沼地。
ここにひっそりとお目当の植物が生えています。

地表に花開くギンリョウソウ (学名 : Monotropastrum humile)
見つけました。
木の根元、日陰の土の中からひっそりと顔を出すこの花は、銀竜草(ギンリョウソウ)です。
イチヤクソウ科で、葉緑素をもたない透き通るような姿から、別名ユウレイタケと呼ばれています。
根に共生する菌類から養分を得る腐生植物です。
直接的には菌類に寄生し、間接的には菌類と共生する樹木が光合成により作り出している有機物を、菌経由で得て生活しているのだとか。
腐生植物と聞くとあまり綺麗なイメージはないのに、神秘的な白色をしているのが不思議です。


付近に目を凝らしていると、意外と沢山見つかりました。
梅雨時、沼沿いなど湿った森の中で見られるギンリョウソウ。
足元の気づかない場所にも、逞しく生きる美しい植物があることを実感させてくれます。
5. 河原に現る蛇紋岩

皆野町 荒川の蛇紋岩
最後に紹介するのは、さらに西へ車を走らせること40分。
荒川にかかる栗谷瀬橋の蛇紋岩です。
蛇紋岩は、岩肌が蛇の皮膚のように見えることから名付けられました。
輝くと美しい石材となり、国会議事堂の玄関の床にも使われています。
その見事な蛇紋岩が河原でごろごろ転がっている様子が、栗谷瀬橋の近郊で見られます。
水を多く含み柔らかいので、地滑りの原因にもなり対岸の山は対策が施されています。
とても脆く割れやすくもあるので、建設工事では厄介者なのですが…
河原で眺める分には非常に良いです。

筆者、最近石を集めるのにハマっています。
この蛇紋岩は特徴的で見た目も格好良く、胸が高鳴りました。

ぐっと近づいて見てみましょう。
濃い緑色を帯びているのが分かりますか。
この色が綺麗で、白い筋の入った模様も美しいです。
お土産に2カケラ拾って帰り、石のコレクションに追加させて頂きました。
まとめ:街中に潜む自然の面白さ

いかがでしたか。
この時期に見ることのできる植物や面白い岩を見に行くのは、童心に帰ったような気がします。
街中の喧騒から少し離れて、懐かしい心地、壮大な自然の年月を感じる不思議な心地に身を委ねるのは面白いです。
皆さんの地元にも、そんな場所がきっと何処かに潜んでいるのではないでしょうか。
今回は、埼玉県に潜む自然の一端を紹介しました。
埼玉県に訪れた際は、街中の岩や花にもぜひ会いに行ってみてくださいね。
参考サイト:
埼玉県公式観光サイト ちょこたび埼玉
遠山甌穴 一般社団法人嵐山町観光協会
古代蓮の里
国営武蔵丘陵森林公園
Comments