新年のあいさつ
明けましておめでとうございます。
Mikaze です。
お正月は、皆さんいかがお過ごしでしたか。
元旦、ちょうど世間が地震発生でざわざわとしていた頃…
筆者にも大事件が起こっておりました。
大切な大切なカメラを失くしてしまったのです。
思い当たる節を探して尋ねたりしてみても見つからず、夜は絶望に暮れていました。
翌朝、ダメ元で先日参拝した神社に問い合わせてみたところ、カメラを預かっているとのこと!奇跡的に見つかったのです。
どこにあったのかと言いますと、神社のトイレの荷物置きでした。
その日は初詣に多くの人々が参拝に来ていましたし、カメラにはバックアップの取りきれていないデータもあったので、どれほど神に感謝したことでしょうか。
そうして、今もなんとか無事に旅を続けることができています。
もう、絶対に失くさないぞと堅く心に誓いました。
筆者の今年の抱負は、ズバリ、よく“視る”ことです。
本当におっちょこちょいの筆者ですが、どうか温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
今年もよろしくお願いします。
徳島県 大浜海岸の初日の出
(この写真もカメラが見つからなければ失なっていた)
さて今回は、鳥取県の因幡の白うさぎ伝説を辿る旅をご紹介します。
実は、筆者は卯年でして、昨年は年女でした。それも相まってうさぎにまつわる場所を数多く訪れていました。特に鳥取県では、日本神話に登場する因幡の白うさぎ伝説が残っている土地だったのです。
筆者、ユーモア溢れる日本神話が大大大好きです。
ということで、神話に思いを馳せながら、卯年を振り返りつつ紹介していきます。
どうぞご覧ください。
0. 因幡の白うさぎ伝説
まず、日本神話に登場する因幡の白うさぎとはどんなお話なのかを紹介します。
この物語を知ることから旅は始まります。
むかし昔、大国主命(オオクニヌシノミコト)の兄弟・八十神たちは、八上姫(やかみひめ)に求婚するため因幡の国に向かっていました。
その途中、毛を剥がされたうさぎに出会い、いじわるな兄弟は「海の水で体を洗い、風の吹く高い山のてっぺんで乾かしたらいい」とうさぎに言いました。
言われた通りにやってみると、体がひりひりと沁み、その痛いこと痛いこと。
そこへ遅れて通りかかったオオクニヌシは、泣いているうさぎに訳を尋ねました。
うさぎは「わたしは淤岐ノ島からなんとか因幡の地へ渡りたいと考え、ワニザメをだまし、その背を踏んでやってきたのですが、それがばれて毛をむしり取られました。その上、あなたの兄弟の言う通りにしたら、今度は身体中が痛くて苦しいのです」と答えました。
オオクニヌシは、「早く真水で体を洗い、ガマの穂をつけてごらん」といい、うさぎは言われた通りにしました。すると、元の綺麗な姿に戻り、すっかり元気になりました。
その後、助けられたうさぎはオオクニヌシに、神代の美女「八十姫」と結ばれると予言しました。オオクニヌシは兄弟よりもずいぶん遅れて因幡の国に着きましたが、うさぎの言う通り、心の優しいオオクニヌシが八十姫に見初められ、ふたりはめでたく結ばれたのでした。
このお話は、およそ1300年前に編纂された「古事記」に書かれている神話です。
日本最古のラブストーリーといっても過言ではありません。
オオクニヌシの優しさが伺える素敵なお話ですね。
古事記では、大国主命の話の始まりに「稻羽之素菟(いなばのしろうさぎ)」として書かれています。
「素菟」とは、「もとの姿に戻ったウサギ」あるいは「裸のウサギ」という意味です。
神話の舞台は諸説あり、「淤岐ノ島」は沖合いにある島、あるいは島根県の「隠岐島」という説もあります。
さあ、それでは、この物語の足跡を辿っていきましょう。
1. 八上姫公園と売沼神社
大国主命と八上姫の石像
まず最初に、鳥取市の河原町という所に足を運びまして、売沼(めぬま)神社のすぐ隣にある八上姫公園へやってきました。
ここでは大国主命と八上姫の出会いをモチーフにした石像があります。
ちょうど河岸に彼岸花が咲く頃だったので、情景的な一枚となりました。
二人の物語を書いた紙芝居「八上姫」の小径があります。
この自然石に描かれたお話は、平成元年に地元商工会の青年部、婦人部が創作した紙芝居を再現したものだとか。
売沼神社
そしてその足で売沼神社へ。
売沼神社では、大国主命と結ばれた八上姫を祀っています。縁結びのパワースポットとしても知られているようです。
こちらの石像は、ふたりの間に因幡の白うさぎもいますね。
さながら恋のキューッピッドのようです。
売沼神社の社殿
社殿は奥にひっそりと、厳かな佇まいで鎮座しています。
2. 白兎海岸の周辺
道の駅『神話の里 白うさぎ』
売沼神社から北上し、道の駅『神話の里 白うさぎ』へやってきました。
次に向かう白兎海岸を望んだ国道沿いの道の駅です。
ここでは、神話にちなんだ白うさぎや縁結びの料理、グッズなどが販売されています。
大国主命と因幡の白うさぎの石像
道の駅の前の石像。
白うさぎと優しい眼差しの大国主命が見つめ合っていますね。
看板には「恋人の聖地」と書かれています。
ここにいったい何組のカップルたちが訪れたのでしょうか…?
白うさぎの縁くん
道の駅の中には白うさぎの縁(えにし)くんがいます。
縁くんは道の駅の名誉駅長二代目で、2022年7月4日生まれ。
ふわふわの真っ白な毛にピンクのお耳、つぶらな瞳がとっても可愛らしいです。
これからも、みんなに愛されながら元気に駅長を務めてほしいですね。
道の駅から歩道橋を渡って白兎海岸へ。
淤岐ノ島
この海岸から、うさぎがいたとされる淤岐ノ島が見えます。
島の上にはぽつんと鳥居が立っています。これは川下神社のもの。
南側は岩が飛び石状になっているため、神話に登場するワニの背に例えられています。
諸説ありますが、神話と重ねながら見るとロマンチックな景観です。
砂浜をよく見ると、小さな貝殻や石粒がキラキラと輝いていました。
気多の岬から見える淤岐ノ島
せっかくここまで来たので、白兎海岸から15分ほど岬を登り、気多ノ前(けたのさき)展望広場 (愛称:白兎の丘)まで行ってみました。
展望広場から見る日本海
広場からの展望はなかなかに良い景色です。
鐘があったので鳴らしてきました。
世界中の恋人たちが幸せになれますように!
3. 白兎神社
白兎神社のうさぎ
道の駅に戻り、そこから3分ほど歩くと、すぐ側に白兎神社があります。
境内に続く参道の途中には、可愛らしいうさぎの石像がいっぱい。
下に積まれた白い石は、ご縁を結ぶ願掛けの石「結び石」。なんとも有り難く縁起が良いですね。
神話「因幡の白うさぎ」砂像
そして「因幡の白うさぎ」の砂像がありました。
筆者はここを訪れる前に、『鳥取砂丘 砂の美術館』という所に足を運んでいまして、大変に見事な砂像を見てきました。
この砂像も素晴らしいですね。全く知らなかった砂像アートですが、鳥取の地に来て強い興味を抱きました。
白兎神社の社殿
白兎神社は、神話の白うさぎを祀っています。
ここは日本医療の発祥の地でもあり、皮膚病や傷の平穏にもご利益があるとされる霊験あらたかな神様です。
神社の向かいには御身洗池(みたらしいけ)という池がありまして、ここで神話の白うさぎが傷口を洗ったと伝えられています。
うさぎみくじを買った
卯年の筆者は、ご利益を得たく「うさぎみくじ」を買ってみました。
みくじの入れ物はとっても可愛らしいので、置物として飾りたいですね。
そして帰り道、ふと草むらに白い生き物が見えました。
これは白うさぎならぬ白ねこだ!
出会えたことが縁起が良いような気がしたので、思わず足跡を辿って写真を撮りました。
4. 井出ヶ浜で砂あそび
井出ヶ浜海水浴場
白兎海岸から西へ車で20分ほど。
最後にやってきたのは、井出ヶ浜海水浴場です。
ここに来た理由は、無性に海に行きたかったから。
海水の透明度が高く、透き通っていて綺麗…
足を洗う場所があったので裸足になって歩いてみました。
とても気持ちいい!
ちなみに、筆者は鳥取砂丘でも裸足になりました。
鳥取砂丘にて
足から伝わる砂の感覚って、とっても気持ち良いものです。
うさぎをつくってみた
鳥取では、砂を使ったアートに触れることが多くありました。
ここの砂粒は超細かくて、手触りが柔らかく、砂遊びに最適。
せっかくなので、因幡の白うさぎにちなんでうさぎを作ってみました。
耳の部分などをつくっているとホロホロと崩れてきて、意外と難しい。
なんとか形にはなったけれど、どうなのでしょうか。
砂を使って人間などをつくる砂像アーティストの凄さを改めて実感しました。
まとめ:神話のロマンを五感で感じる
因幡の白うさぎのお話は、なんとなく昔話で知っているくらいだったのですが、こうして足跡を辿るとより魅力的な物語に感じられました。
日本神話にゆかりのある土地を、裸足になって歩いたり手で触ったり、遠くから望いてみたり。五感で感じることができるのは、非常におもしろいです。
ここにもしかしたらいるかもしれない、ここでこうしていたかもしれない…と想像を膨らませながら歩くのが楽しいです。
太古の日本人が考えた物語の地が、実際に存在しているという感激もありました。
皆さんも鳥取県を訪れた際は、因幡の白うさぎ伝説の足跡を辿ってロマンに浸ってみてはいかがでしょうか?
それでは、またお会いしましょう。
Comments