境内に入るより先に、大勢の若者が集うのを見た
唐草や花模様のそれは互いに顔を合わせ
嬉しそうに笑ったりはしゃいだり
まるで私の入る隙間はない
進学の祈願だろうか、それとも片思いの終わりを願うのか
ともかくその浴衣姿が様になっていて
時代を超えた建造物の中にぴったりと収まり
ひとつの絵画のようになっているのだ
持ち合わせていた鮮やかな桃色の傘も
もはやその迫力に勝機はなく
私は遠くからその賑やかさを傍観した
此処に立ち止まり、それまで歩きながら考えていた願い事は
すっかり頭から消えてしまった
大したことのない願い事は 遠くで響く鐘の音に届くわけもなく
彼らの威勢の良さを瞳の奥にしまって
その場を去ることにした
掌に握りしめていた 行き場のない賽銭で
団子のひとつでも買って行こうじゃないか
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