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執筆者の写真S Mikaze

街影

人通りから離れた川岸で

鳥は置物のように静止して

じっと羽を休めている

誰の目にも留まらないその姿が

風景に一体化して溶け込んでいる


街中に入り込んだ楽園は

知らないうちに側でひっそり息を潜め

生命を内側に宿していた


それは賑わう商店街や

雑踏の中にそびえ立つビル群よりも

見慣れた景色なのかもしれない


この過去に幾度もすれ違っていた場所は

焦燥感に駆られるような休息地


環境が入り混じる

音が反響する

交差する

色が、光が、

空気が


もつれ合って絡まったような場所にも

すぐ隣に鎮座する


それは影のように見えにくいが

灯火のように儚いが

寂しさを置き去りにはしない






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