S Mikaze2023年2月10日読了時間: 1分吊り橋にっちもさっちもいかない 転がる自分の影をひろって 赤い吊り橋をそろそろと歩く その先は行けそうにない 飛び越えられそうにない 頭がそろり揺らされながら 差し込む光のそばでうずくまる 下は怖くて見下ろせそうにない 上はまぶしくて見開けそうにない しかしなんだ...
S Mikaze2023年1月22日読了時間: 1分散歩なんとも頼もしい限りで お日さまの側でアイツは潜んでいるんです 腰が重たい日もありましょう 怠けたくて仕方がない日もありましょう そんな時は偶然を祈りましょう 会えたらきっと 可愛げにこちらを振り向いてくれますよ 横暴に目の前でゴロゴロしますよ そしたら引っかかる迷いなんて...
S Mikaze2022年9月4日読了時間: 1分裏路地薄暗い曇色の下 目を見張らなければ過ぎ去ってしまいそうな場所に 散りばめられた光があった 人の息づく看板が 誰かの羽目を外した笑い声が 肉のジュージューと焼ける音や、香辛料のスパイシーな香りが 私の頬に心地よい風を与えた 公に現れないものは多くあれど...
S Mikaze2022年6月22日読了時間: 1分寄り道少年が誰かの名前を叫ぶ こっちだよ、と少女が話しかける 色とりどりの白と黒 学生服がぱらぱらと走りまわって なんでもない脇道を闊歩する 帰り道だろうか? 彼らのあどけなさが遠目に見えて どこかに忘れていたものが蘇る あの頃の私 夢を抱いた私 白い靄が辺りを覆っても...
S Mikaze2022年6月7日読了時間: 1分竹林さらさらと 笹が揺れて静かな道に呼び込んだ ゆっくりとしなって 爽やかな空気を先へと送らせる 間には日の光がちらちらと輝き 私の足が地をついて 見上げれば伸びた矛先が 天に向かう勢いでそびえ立っていた 枯れ落ちた笹の葉が空を舞う 桜の花びらに似た儚さが...
S Mikaze2022年5月18日読了時間: 1分帰り道思いの外 夜の世界はすっきり 辺りの家々は点々と 大通りには街灯がぽつぽつ 隅々まで妖しい空気が行き渡り 月明かりに照らされた私の肌は 心踊らせ白く透き通る 五月蝿いものはすべて脱ぎ捨てた 丸裸のまま湯船から足を上げ 窓の向こうへ行きたいと願った記憶が 目の前を横切った...
S Mikaze2022年4月27日読了時間: 1分旅路島の先端には 揺れ動く地面に一心に根を張らせた奴がいる ねじ曲がった回路を断たれまいと あらぬ方角を向いている 頭上から人間達を眺め 遠方に広がる地平線を横目に 決して後戻りはしないと踏ん張っている 私はそこに立ち向かえるか? 抗う時の傍観者に成り得るか?...