S Mikaze2023年2月19日読了時間: 1分pm5:13悲しみがエンドレスに 橋の向こうまで続いていると 船着場のトリとネコが びっくりしてこっちを振り向くんだ 口笛を吹いて とぼけた顔でごまかしたら 影がゆっくり家々を包み込んで 世界はやわらかな色で満たされる 沈んだ気持ちは波の下に落ち着いて その上を跨ぐのは...
S Mikaze2023年2月10日読了時間: 1分吊り橋にっちもさっちもいかない 転がる自分の影をひろって 赤い吊り橋をそろそろと歩く その先は行けそうにない 飛び越えられそうにない 頭がそろり揺らされながら 差し込む光のそばでうずくまる 下は怖くて見下ろせそうにない 上はまぶしくて見開けそうにない しかしなんだ...
S Mikaze2023年1月29日読了時間: 1分実りまだくっついているよ 爽やかな朝が まだ見上げているよ とびきりの空の片隅を よく知らない街で 明るいオレンジが笑ってくれた ここにいてもいいんだって その代わりと言ってはなんだけど 葉の透き通るみどりの美しさに 感動してくれないかって たくさんの色を持っているからさ...
S Mikaze2023年1月22日読了時間: 1分散歩なんとも頼もしい限りで お日さまの側でアイツは潜んでいるんです 腰が重たい日もありましょう 怠けたくて仕方がない日もありましょう そんな時は偶然を祈りましょう 会えたらきっと 可愛げにこちらを振り向いてくれますよ 横暴に目の前でゴロゴロしますよ そしたら引っかかる迷いなんて...
S Mikaze2023年1月15日読了時間: 1分日暮れ地獄の番人が 轟音を立てながら この世から引き摺り下ろそうと 耳元で囁こうとも 私は沈みゆく日に目を背けず 此処にくすぶる不安や悩みを 太陽の陰に閉じ込めよう もしもなれるなら 暗い底なしの世界に灯りをともす 灯台の番人になれるまで
S Mikaze2023年1月11日読了時間: 1分夜明け地平線を越えた 厚い雲の向こうの 熱を帯びた感情を全身に浴びて ゆらり 波に押し流されて 何度も迷子になって ばしゃり 汚れた手でもがく 失くしものは過去に置いてけぼりで 数多の石粒に紛れて まるくなるばかり それでもひとつの たしかな光に救いがあるならば 砂浜のざわめきも...
S Mikaze2022年12月26日読了時間: 1分ヌマスギ地面にしっかり根を張って その間から 逆さまになって顔を覗かせると ふつうじゃないことも これがふつうかもって 納得できたりする 地面からこっそり頭を出して あたりを見渡して 新しい世界に突っ込むと 机上で考えていたことも こんなふうだったんだって 発見できたりする...
S Mikaze2022年12月20日読了時間: 1分上よりうたた寝をしていたら 街がたくさん出来上がっていたよ アダムとイヴが あの実をかじった時から 人は罪を背負っていたはずなのに 「生きる」という罪を 握りしめたはずなのに 人は独りでは生きていけないから 誰かにすがり付いたり 誰かに引っ張り上げられたりして...
S Mikaze2022年12月15日読了時間: 1分クリスマス駅聖なる日が 近づいている ふわふわ、きらきら それから 赤いおじさんみたいに せわしなく動く人々 誰と過ごそうか? どこで過ごそうか? 何をしてみようか? 冷たくなった手で 大切なプレゼントを抱えて 浮き足立って なんだか落ち着かなくて 心まで凍りついてしまいそうだ、...
S Mikaze2022年12月9日読了時間: 1分待ちぼうけ呑気な夕陽は 曇りガラスをすっと通り抜けて 今日の決別と明日のお楽しみを運んでくるのさ とうの私は 死にかけの影を引きずって待ちぼうけ 陽気な音楽と一緒に電車がやってきて 扉が開いたら 黄色い一線が目下にあるものだから、 すべて もみくちゃにされながら どうにか勇気と...
S Mikaze2022年12月7日読了時間: 1分移り葉人気のない大きな駐車場で 溢れんばかりのいのちが 私に囁いては揺れている 小さな者も、青々とした者も 大きな者に負けないくらい主張して もっとわたしをみてよって もっとこの手を広げてみてよって もうすぐ全ての色が落ちることも 落ちて白色に包まれることも 受け入れているんだ、...
S Mikaze2022年11月29日読了時間: 1分空き地皆違う方向を見ている 違う方向を向いている 誰も答えを知らない その先の答えを知らない 時が経った 時が経ったのを忘れていた おかしな組み合わせに見えた 誰も答えを知らないから それでも構わなかった 苔が頭にまとわりついた これで良かったのだろうかと 誰かは考えた...
S Mikaze2022年11月23日読了時間: 1分ぼんやりとした文字、電飾、看板 歩く人、話す人、振り返る人 写真を撮る人、 ウィンドウにうつった 広がる街の残像 フレームのない曇り空は 気の進まないメニューに添えられた サービスのコーヒーみたいな 気の抜けたときにこぼれ落ちる ひとりぼっちの心地良さみたいな...
S Mikaze2022年11月15日読了時間: 1分うつろい穴あきのわたしには ちょっとした特技がある それは 黄金の光を透かすこと みんなにゆっくり与えられる ちいさな輝きの時間に 光が溶け合って それはもう、 美しい存在になれるけれど 穴あきのわたしには それなりに時間がかかって やっと、 照らされたあかつきには...
S Mikaze2022年11月12日読了時間: 1分水鏡反対側の世界で ぼくらは見ている 歪んだ鏡の中で 空気を肌で感じられる世界に 密かな憧れを抱いている 何かの走り去る音が聞こえた 何かの過ぎ去る感情が震えた 通りかかったあの子の目線で 街をスキップしてみたかった 変な形の物体が空を飛んでいた それよりもっと高く翼を広げて...
S Mikaze2022年11月4日読了時間: 1分残骸人類が歩くことを忘れた頃に ツタを巻きつけて覆い隠すように 人が生きた痕跡は混ざり合うのだろう 聞いたことのないメロディーが頭を掠めると 同時に懐かしい記憶が溶け込むように その旋律に重なるのだろう それを儚さと言う前に 言いようのない美しさが在ると悟った...
S Mikaze2022年11月3日読了時間: 1分焼きリンゴ食べたくなりました ちょっと焦げすぎちゃいました つぎはぎの思い出が 美味しく焼けて湯気を立てます まだすこし眠たいです 煙の向こうの君は 取り残されたロボットのように 愉快な動きをしています 腹の怪獣が鳴いてますが あなたは笑って楽しそうです これから始まる1日に...
S Mikaze2022年10月29日読了時間: 1分共生社会雨露を飲むことが気休めになった 隣のひとは私に近寄るなと言っても せめぎ合うこの地では通用がしない 仕方ないので自分の領域を守る 到底ふたりぶんなど入りはしない 滴る水が疲れを流した どれだけひとりの時間が好きでも 小さなネットワークは作らなくてはいけない...
S Mikaze2022年10月26日読了時間: 1分沈む空考えることをやめていた 焦ることばかりを学んで 黒い雲に目を取られていた もしまた傷つけることに躊躇いもなく 飛び込むことに諍いもなく 怯える顔を優しく包んであげられたら 未来は少しマシになるだろうか 思いつくことをやめていた 道で拾った石ころを並べていた...
S Mikaze2022年10月24日読了時間: 1分海釣りひとまわり大きく見える手の先に 果てしない愛にも似つかない野望が埋まっていた 汚い泥沼の中に手を入れて わずかな幸せをまさぐっている どこまでが真実かを知らないけれど 信じることを恥じて手を離すのが嫌で 目線を地面と睨めっこするのが嫌で ただ遠くを見つめていた...